将来本を書くためのネタ帳

93年生まれ、現在ITの営業。 将来、自己満足で本を出したい。興味分野は、政治(公共性)/経済/国際協力/美術/ITなど。政治とIT、政治と美術など組み合わせて考えると面白いのでは?

監視塔の見えない'パノプティコン'

 

テロは恐ろしい。

無差別ゆえどう巻き込まれるかわかったものではない。

日本より海外でのテロ発生確率のほうが高いため、海外旅行をせず日本にいればなんとなくテロに巻き込まれないように思っている人がほとんどだろう。

私もその一人だ。

 

だが、実際に日本でテロが起こったらどうなるだろう。

怪しい人物の監視のための防犯カメラや体制の強化、そもそも水際対策の厳格化などが叫ばれるだろうか?

私はITの営業をしているため、こういった領域でどのようにITを活かせるかを把握している

上記のような体制強化の声の噴出にあたってITの力を利用すればある程度の解決が行えるだろう

(実際にはそういったITの技術の活用には様々なハードルはあるのだが今回は触れない)

 

 

そこで実現される世界を端的にあらわすと下記だ。

(今の技術で実現しきらない領域もあるが近いうちに実現できるだろう)

 

1. 人物の関係性が可視化できる

→Aさんは誰と繋がりがある?その周辺のコミュニティは?

 

2. 誰がいつどこにいるのかを整理できる

→防犯カメラなどに映った映像からどこに誰が何時にいたのか整理

→それを蓄積して全ての人の行動パターンを裏付け

 

3. 人物のパーソナリティに関する情報を整理できる

SNS上の発言履歴やその人に関するデータから関係性だけでなく、どういったパーソナリティを持っているのかを整理できる

 

ここまですれば、おそらくテロリストも動きにくいだろう

1の関係性の可視化で、少しでも過激派/テロ組織などとの繋がりがバレてしまえば、要注意人物としてチェックされてしまう。テロに利用する資材などを手に入れようにも2で監視動きは全て把握されており、変な動きをしようものなら確実につかまる。加えて3も組み合わせれば、行動パターンはさらに先読みされてしまう。

実際には実現するには非常に難しいことではあるが、ありえなくはない未来である。

これが実現すればテロの危険性が限りなく低い幸せな社会が到来する。

 

 

だが、別の観点からみると幸せな社会といってよいかは一概には言えない。

 

 

 

かつて英の思想家ベンサムが考案した刑務所形式であるパノプティコンは、のちに仏哲学者フーコーにより近代の権力モデルとして説明された

 

パノプティコン(一望監視施設)とは、

 ・中心に高い塔(監視塔)をおく

 ・監視塔を取り巻く形で円形に監獄を配置する

 ・監獄の受刑者は常に監視塔から「見られている」ような気になる

   →監視されていることが受刑者にとって内面化される

 

フーコーは、上記のパノプティコンを近代における少数の権力者が多数の個人の監視および教化の仕組みの例えとして引用した

 

このモデルを先ほどのITにより実現されている世界に当てはめて考えてみるとどうだろうか

 

1. 人物の関係性が可視化できる

2. 誰がいつどこにいるのかを整理できる

3. 人物のパーソナリティに関する情報を整理できる

 

監視塔が立っているわけではないが、常に誰かに「見られている」という意識を感じざるを得ないのではないだろうか。そして、監視されていることが内面化されていく。

 

 

 

この世界は犯罪を抑止するかもしれないが、一方で私たちの自由を目に見えない監視塔

が奪っていくかもしれない。

 

 

 

 

 

 

SNSが普及して周りの全ての人が社会への告発者となれるようになった今、すでにこういった監視塔の見えないパノプティコン状態は完成されているという説もある。今回の記事との違いはそれが草の根的か、もしくは権力をもった国家権力主導型かという観点での差異である。